久しぶりに読書している。

最近の読んでいる本について。あるいはその他のこと。

2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

「金子みすゞ名詩集」 彩図社文芸部

kindle unlimitedにあったので、なんとなく。他の詩集に比べてとても読みやすかった。児童文学を読んでいるような感じ。 プロフィールで「自ら死を選び26歳でこの世を去る」とあり驚いた。そういうことは特に知らなかった。詩の内容からすると著者はのんきな…

「レ・ミゼラブル(下)」 ヴィクトル・ユゴー 角川文庫

やっと読了。長く感じたが、これでも本来の作品をかなり凝縮したものなのだそうだ。いったいどんな結末になるのかと思っていたが、予想以上に感動的なものだった。 ジャン・ヴァルジャンが逃亡生活を送る中、共に生活する養女ともいうべきコゼットは、マリウ…

「智恵子抄」 高村光太郎 新潮文庫

なんとなく知っていた詩集。芸術家・高村光太郎が、今でいう統合失調症を患って亡くなった妻を思って作った詩の数々。 光太郎は純朴な妻のことが大好きで、芸術作品も妻に見せるのがモチベーションとなって創作していたらしい。そのため彼女が亡くなった時の…

「眠られぬ夜のために 第二部」 ヒルティ 岩波文庫

他の積読をさしおいて、一気に読んでしまった。本来こういう読み方をすべきでなく、一日少しずつ読むための本である。 第一巻と同じく、キリスト教を最上のものとしていかに内的成長を達成するかを繰り返し書き連ねてある。とはいえ、教会への礼拝とか形式的…

「眠られぬ夜のために 第一部」 ヒルティ 岩波文庫

不眠症の対策?らしきものはほんのわずかに触れられているに過ぎない。寝つきの悪い時のために、一日一話読むことができるよう、366日分の日付をつけて配してある。 内容としては、一般的な道徳もあるが、たいていはキリスト教とか神、聖書の話である。形…

「レ・ミゼラブル(上)」 ヴィクトル・ユゴー 角川文庫

タイトルはあまりに有名、出だしも何となくわかる、でもそれ以上読んだことなかったので楽しみに読み進めた。 ジャン・ヴァルジャンはあまりの貧しさのためパンを盗み、投獄されるが身体能力が高かったために何度か脱獄を試み、捕まるを繰り返して相当の年月…

「コンビニ人間」 村田沙耶香 文春文庫

第155回芥川賞受賞作。薄い本で、読みやすい文章。 恐らく発達障害?のある女性主人公は、コンビニでしか働くことができず、大学時代から18年同じコンビニに勤務している。いわゆる「普通」の人生を送る友人や身内から圧力を感じながら生きている。 主人公の…

「若き詩人への手紙 若き女性への手紙」 リルケ 新潮文庫

リルケという高名なドイツの詩人が、おそらく会ったこともないであろう若い人の相談を受けて、何度もやりとりをした書簡である。本としては薄いが文章が濃い。 内容に関しては、詩人の内面的な部分など凡人にはよくわからないところもあるが、忙しく体調も思…

「教科書でおぼえた名詩」 文藝春秋編 文春文庫

なかなか一冊の本を読み切れない。それに、本の種類がありすぎて選ぶのに困ってしまう。そんな中、なるべくハズレのないようにと思って購入したのがこれ。 楽曲で譬えるなら「90年代ベストソング」みたいなものか。作者の最も有名な作品が載っているので、…

「赤と黒(上)」 スタンダール 新潮文庫

やっと上巻読み終わった。面白いけど、けっこう長い。不倫&成り上がりの一直線のストーリーかと思っていたが、主人公が純粋な悪人というわけでもなく、この先の展開も楽しみだ。 貧しい家に生まれたジュリアンは、才気煥発の美少年で家族と折り合いが悪く、…

「ギリシャ・ローマ名言集」 柳沼重剛 岩波文庫

薄いしすぐ読めた。日本や中国のことわざ・名言とは趣が異なる。英語の教材で見たようなものもたまにあるが、古代のものが残っていたのだろう。 教訓的なもの、ことわざもあるが、詩や劇のセリフなどもありバラエティに富んでいる。大昔で文化が異なり、戦争…

「イワン・イリイチの死/クロイツェル・ソナタ」 トルストイ 光文社

1冊に2つの作品が収録されていた。どちらも大変暗い作品。読後感はあまりよろしくない。 「イワン・イリイチの死」は、彼の葬儀の話からさかのぼって物語が進行するが、仕事人間だった男が病に侵され、ひたすら苦しみながら健康である家族にいらだち、憎しみ…

「草枕」 夏目漱石 オリオンブックス

「山路を登りながら、こう考えた。智に働けば角が立つ。情に掉させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。」 とこういう出だしで始まることは知っていたが、いったいどんな話なのか全く知らないので初めて読んでみた。 明治の文豪、…

「21 Lessons」 ユヴァル・ノア・ハラリ 河出書房

凄い本である。読破するのにかなり時間がかかってしまったが、小説とは別の意味で感動的だった。 歴史、テクノロジー、宗教、エンタメなど様々な方面に深い造詣を持つ著者が、過去や現在を鋭い切り口で解説してみせ、未来に起こりうる可能性にも示唆を与えて…

「車輪の下で」 ヘッセ 光文社

ぼんやりと概要を知っていたような気がするのだが、改めて丁寧に読んでみた。とても悲しい小説だった。 主人公ハンスはなまじ優秀なために、早くから勉強漬けとなり周囲からの期待を受け、エリート校に入学するが、ますます勉強せざるを得なくなり友人も少な…

「星の王子様」 サン=テグジュペリ ゴマブックス

以前、中田敦彦氏のYoutube動画でこの本の解説を見たような記憶がある。今回読んでみて、とても読みやすい児童書のようだが、さまざまな比喩や人生訓が含まれているようだ。 もちろん中田氏のように鋭い分析力など持ち合わせていないのでぼやっとした部分も…

「若きウェルテルの悩み」 ゲーテ 新潮文庫

タイトルは知っていたので、非常に有名な小説だと思うが筋は知らなかった。読んだ率直な感想としては、ストーカーになるタイプの人が心理的に追い詰められていく過程を描いたもの、なのかと思った。 ウェルテルは性格がよく非の打ちどころのない美少女ロッテ…

「人生談義(下)」エピクトテス 岩波文庫

しばらく前に上巻を読み終えて、その難解な論法にがっかりしていたのだが、上下巻同時に買ってしまったのであまり期待せずに読み始めた。 ところがあにはからんや、上巻よりはるかにわかりやすく良い本だった。同じようなことを繰り返し巻き返し述べていると…

「チップス先生、さようなら」 ジェイムズ・ヒルトン 慧文社

冗談好きで人気があるが、常識的な老先生の、どちらかといえば平凡な日常を描いた作品である。ページ数あまりないので読み終えるのに日数はかからなかった。 中年期に偶然出会った若く魅力的な女性と結婚するのだが、彼女は早々に亡くなってしまう。新しく赴…

「努力論」 幸田露伴 岩波文庫

露伴先生といえば昔はこの人だったに違いない。それはさておき、「努力論」という非常に堅いタイトルではあるが、スマイルズの「自助論」のようにとにかく頑張った人たちの例を列挙しているようなものではなく、実に独特の切り口で生き方を説いたものに思わ…

「ゲーテ格言集」 ゲーテ 新潮文庫

名言・箴言が好きで、気に入ったものをノートに書き留めたりしている。ネタが尽きてしまったので、新しいものを探していたところ書店で見つけて購入。薄いので一気に読めた。 皮肉なものは好みでないのだが、ゲーテのものはそれほどでもないので読みやすかっ…

「人生談義」(上)エピクトテス 岩波書店

マルクス・アウレリーウスの「自省録」が好きすぎて、彼が大きく影響を受けたといわれるエピクトテスの本を買ってみた。 たいへん分厚く、かなりの割合で「いったい何が言いたいのかこれは?」という文章が続く。正直厳しかった。「自省録」がストレートに心…