久しぶりに読書している。

最近の読んでいる本について。あるいはその他のこと。

「智恵子抄」 高村光太郎 新潮文庫

なんとなく知っていた詩集。芸術家・高村光太郎が、今でいう統合失調症を患って亡くなった妻を思って作った詩の数々。

 

光太郎は純朴な妻のことが大好きで、芸術作品も妻に見せるのがモチベーションとなって創作していたらしい。そのため彼女が亡くなった時の嘆きは大変なものであった。

 

智恵子は裕福な家庭の出であり、自らも油絵の道に進みたいという志があったが、光太郎との結婚でそれを断念。芸術家によくある貧困生活の中で、実家にもトラブルがあり、神経を徐々に病んで入院し、数年後に亡くなった。

 

田舎出身の妻と東京出身の光太郎の感性の違いや、女性としての精神的肉体的魅力、病中や没後の思いなどさまざまな詩がつづられていた。仲の良い夫婦が死に別れることは第三者から見ても悲しみの度合いが大きく、読んでいてつらさを感じた。それでも一つひとつの詩はとても美しいと思う。