久しぶりに読書している。

最近の読んでいる本について。あるいはその他のこと。

「砂の女」 安部公房 新潮文庫

ホラーのような小説だった。情景がなかなか思い浮かばなかったが、深い穴ぼこのような場所にある家に、騙されて囚われてしまった男の話。しかも常に砂まみれで生活しなくてはならないし、そこにいた女は生気がなく外に出ようという気がなかった。

 

読んでいるうちに、なんだかわれわれ一般の結婚生活の失敗例の一つの比喩なのではなかろうかとさえ思えてきた。最初は嫌でたまらない環境も、年月が経つにつれ何も考えずそれなりに適応していく様子は社畜にも通じるかもしれない。ドナルド・キーンの解説がわかりやすくてよかったが、けっこう読むのはしんどかった。