久しぶりに読書している。

最近の読んでいる本について。あるいはその他のこと。

「ツナグ」 辻村深月 新潮文庫

死んだ人間に一度だけ会うことを仲介する「使者(ツナグ)」。それについてはファンタジーであるが、もしそういったことができたとしたら人は誰を呼び出し、どう感じるのかといったことについては細やかに描写されていて、違和感を感じなかった。

 

特に印象的だったのは「親友の心得」。女子の友情というのは複雑なもので、嫉妬やマウンティング、さらには憎悪を内包していることもあるが表面上はわからなかったりする。本作では、死んだ子は呼び出した親友に懺悔の機会を与えていた。しかし結局それはなされなかったため、さらなる悔いを相手に植えつけて再会は終わることとなる。

 

最後の章で使者の側からの視点で伏線回収が行われる。能力継承のルールが明かされ、使者の両親が不審死を遂げた理由もわかっていく。最後はすっきりとした気持ちで本を閉じることができた。

 

一冊読み切るのにけっこう日数がかかるようになってきた。現代の国内小説は進みやすい方だが、一冊一気にといったことはもうできない年齢だと諦めている。